R&D TECHNOLOGIES

世界を変えるNTTの最先端通信テクノロジー

新たな競技観戦を実現 熱い声援をリアルタイムで届けるリモート応援へ

R&D TECHNOLOGIES新たな競技観戦を実現熱い声援をリアルタイムで届ける
リモート応援へ

田中章仁
“音で戦う”プロフェッショナルが語る、音が持つチカラゴールが決まった瞬間の興奮を、
みんなで分かち合いたい

「試合会場に行けなくても、熱い声援をアスリートへ届けたい」。
新型コロナウィルスによって移動できない、集まれない社会が到来。これまでのように試合会場で応援を届けることが難しくなった今、NTTの「超低遅延通信技術」が試合会場と観戦会場を双方向でつなぎ、まるで同じ会場にいる一体感を創出することを実現しました。
映像・音声と、観戦会場から試合会場に送る観客の声援やリアクションなど、情報の往復で発生してしまうそれらのタイムラグを限りなくゼロにすることで、どこにいてもスタンドから応援しているような臨場感と一体感が体験できます。

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超低遅延通信技術によって遅延を限りなくゼロに離れていても一体感を生み出すスポーツ観戦を実現

リモート応援で最も重要なのは、“わずかな遅延の解消”です。通信が遅延することで、試合会場とリモート会場に0コンマ数秒レベルのズレが発生します。このズレを解消しない限り、試合会場に向けて声援を送り届けても試合会場のタイミングと応援が合わず、むしろ選手の集中を削いでしまうことにもつながるのです。ここではNTTがそんな遅延を克服するための最新通信テクノロジーを紹介します。

大容量データ通信で避けられなかった2つの遅延をクリアするために

通常の通信で発生する遅延は、コンマ数秒でも人間にとっては“違和感”と知覚されてしまいます。その遅延には大きく、「伝送処理遅延」と「圧縮処理遅延」の2つがあり、これらを解消することが大容量・高速通信の課題でした。
そこでNTTは、新たな時代に向けて推進中の基盤技術を活用。たとえば、伝送機能を分割し高効率なデータ処理を可能にする「ディスアグリゲーション構成技術」で、伝送処理遅延を克服。さらに圧縮処理遅延も、データそのものを映像信号レベルで逐次処理できる「超低遅延メディア処理技術」を用いて解消させました。こうして実現する現地と遜色ない臨場感の「リモート応援」は、これからの観戦のスタンダードになるかもしれません。

超低遅延技術×巨大LEDディスプレイで、迫力のリモート応援を開催

東京2020組織委員会は、8月7日・8日に札幌で実施されるマラソンのリモート応援プロジェクトを開催。前述した「超低遅延通信技術」によって、東京と札幌間を広帯域回線で接続し遅延時間を最小化。実際の会場となる札幌と、リモート会場となる東京のそれぞれの場所に、50mもの長大なLEDディスプレイを設置し、コースを走りゆくランナーの姿と、沿道を埋めたかのような観客の姿を、リアルタイムかつリアルサイズでそれぞれの場所に表示しました。ランナーの迫力と応援がシンクロした新しいスポーツ観戦の形を実現します。

INTERVIEW

“音で戦う”プロフェッショナルが語る、音が持つチカラゴールが決まった瞬間の興奮を、
みんなで分かち合いたい

田中章仁 選手

5人制サッカー(視覚障がい B1クラス)
3歳で発病。学生時代は弱視であったが2002年に視力低下。2006年に競技を始め、2009年のアジア選手権から日本代表として活動。

視覚障がい者が、味方の声や音だけを頼りに熱い戦いを繰り広げる5人制サッカー。日本代表である田中章仁選手に、音で戦う競技の魅力と、スタンドからの声援と遜色ないリアクションが期待できる「超低遅延通信技術」によるリモート応援について伺いました。

健康のためにはじめたスポーツで日本代表に
―田中選手が、5人制サッカーをはじめられたきっかけは何なのでしょうか?

田中 もともと弱視ではあったのですが、サッカーは観るのが大好きなスポーツでした。体育の時間や遊びで少しプレイしたり、サッカーゲームにはまったりもしましたね。その後社会人になってさらに視力が落ちてしまったのですが、体重も見たことないような数値まで増えてしまって。そこで「健康のために何かスポーツしなきゃ」「どうせ体を動かすなら好きなサッカーがいいな」、そんな思いからはじめたのがきっかけです。

―健康維持のつもりで始めたスポーツで、代表強化指定選手になるほどの実力に。

田中 最初は障がい者向けのサッカーだから、もっとゆったりとした競技かと思っていたんです(笑)。ところがいざやってみるとスピーディでとにかく激しい。5人だけどまるで11人制のサッカーを本気でやっているような感覚が、サッカー好きだった僕にとって心地良かったんです。自分が本格的に選手モードに移行したきっかけは、当時から仲の良かったチームメイトで日本代表の黒田智成選手が、2007年の北京大会の予選で負けたとき。彼がものすごく悔しがっているのを見て、ここまで人が情熱を傾けられるスポーツで、自分も本気でがんばりたいと刺激を受けましたね。

―2021年6月に開催された国際大会では、日本代表は準優勝。チームを支える活躍で、田中選手自身も個人賞を獲得されました!

田中 まずはこの状況のなかで大会そのものを開催していただけたことにとても感謝しています。決勝では世界ランク1位のアルゼンチンに敗れてしまいましたが、ピッチで久しぶりに再会できたこともうれしかったです。日本代表チームとしては、パラリンピック直前の力試しとなる大会で準優勝というのは一定の成果ですが、本音をいうとやっぱり優勝したかったですね。

―大会は無観客で開催されましたが、試合はライブ配信され、SNSでもトレンド入りするほどの注目度でした。

田中 試合が終わって部屋に戻ってから、SNSで話題になっていたことや、たくさんの方々が観てくれていたんだなということを実感できました。でも現場ではそれを知る術がなく……その場に観客がいるかいないか、実際の応援の声があるかないかというのは、選手にとって大きな違いだなと思いました。

―仲間の「声」やボールの「音」を頼りに試合に臨む5人制サッカーでは、観客は静かに観戦することになっていますが、試合中はやはり、スタンドに観客がいた方が応援につながりますか?

田中 タイムアウト中や、試合が中断しているタイミングで聞こえるニッポンコールや選手名のコールは、ものすごく励みになるんです。みなさんプレイ中は静かに応援してくださっていますが、激しいプレイや良いプレイが出た瞬間に思わず、「おぉ」とか「わぁ」って小さく声を漏らすんですよ。そんなリアルなリアクションが聞こえる瞬間が、特にやりがいや手応えを感じられて、選手としてすごくうれしいですね。

勝負を分ける味方の声、選手を後押しする観客の声
―田中選手の強みといえば「1対1の守備」ですよね。味方の声や音を頼りに相手の攻撃を止めるわけですが、試合中はどういった感覚なのですか?

田中 味方選手の声の聞き分けは、一緒に練習や試合を繰り返すなかで体得しています。試合中の守備で重要なのは、特定の音や声に集中しすぎないこと。ボールの音ばかりに集中して奪いに行こうとすると、逆に相手のシュートコースを開けてしまうことがあります。なので、フィールドプレーヤーの声や息づかい、足音、ボールを蹴る時の音、晴眼者であるゴールキーパーの具体的な指示など、あらゆる声や音に対して感覚を広げてプレイしています。あと自分の場合はサッカーをよく観ていたので、適切な守備のポジショニングのイメージが頭の中にあるのも大きいかもしれません。

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―先ほどの「感嘆で漏れてしまう声」のようなプレーの瞬間的な反応も、「リモート応援」で叶える時代がやってきました。ほぼタイムラグなしで現地に届くようになるんですよ。

田中 実際のプレイと遠隔地から届くみなさんのリアクションにズレがあると、違和感がありますしプレイにも支障をきたしそうですが、新しい技術でそのズレが解消されるのなら、選手としてはスタンドからの応援と同じように心強い後押しになりそうです。私たちは、ボールがネットを揺らす瞬間というのを目視できないので、観客のみなさんの大歓声でゴールが決まったことを知るんです。サッカーにおいて最高潮に盛り上がるゴールの瞬間。この一瞬の快感や一体感を、ぜひみんなで同時に分かち合いたいですね。

―最後に、5人制サッカーというスポーツの今後の展望と、 田中選手個人の目標を聞かせてください。

田中 10年くらい前まではドリブルやシュートといった、個々のスキルが勝敗を決めていたんですが、最近では組織力が重視されて個人技で勝ち切るのは難しくなりました。戦術も高度になっているので、スポーツとしての見どころはますます増えていくと思います。そういう意味では僕も、守備だけではなく攻撃にも絡めるようなプレイが求められていて、ドリブルやシュートにも練習で磨きをかけています。もう43歳なのですが、経験、技術、モチベーションのバランスは、今が一番充実しています。
あと実は……代表としてはまだノーゴールなんですが、「代表初ゴールはパラリンピック本戦で決める」って周りに言っちゃってるんで(笑)、ぜひ実現させたいですね。

距離を超えて観客と選手がつながった時
応援は選手への勇気となり、観客の新たな感動となる

遠く離れた場所に何かを送ろうとすれば、そこには当然時間がかかります。しかしそんな当たり前すら乗り越えてしまうのが、NTTの「超低遅延通信技術」。人と近づけない、集まれないという制約がある昨今。物理的に離れていても、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会という大きな舞台をきっかけに、声や音、感情をストレスなく共有できる技術として、よりの多くの場面で、より身近なかたちで豊かな未来が拡がっていくことでしょう。

東京2020リモート応援プロジェクト

  • 日時:8月7日(土) 8日(日)
  • 対象競技種目:陸上競技マラソン
  • 会場:東京

※東京会場は一般のお客様への公開はしておりません。

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