POWER OF INNOVATION

世界を変えるNTTの最先端通信テクノロジー

未来を変える最先端通信技術

リモートワールドが加速する-IOWNが切り拓く無限のイノベーション

画像:リモートワールドが加速する-IOWNが切り拓く無限のイノベーション

NTTがこれまでの研究開発の知見に基づき「IOWN」(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)という新しいネットワーク構想を提案してから2年目となる2020年は、世界を揺るがす新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、さまざまなイベントの延期や中止、企業活動の停滞など私たちの生活を大きく揺るがした1年となりました。
リモートワークが進み、海外との行き来が困難となり、あらゆる活動に対して大きな変革が求められることとなりましたが、しかし、それはNTTがかねてから取り組んでいたIOWN構想によるスマートワールドの実現が待望される機会になったとも言えます。
2021年を目前に控えた2020年11月、ウィズコロナ、アフターコロナといった現在進行形の課題も含みつつ、IOWN構想の進捗や最新のNTTの研究開発について発表がありました。その中から、いくつかの研究開発をご紹介します。

新たな社会基盤で“ゲームチェンジ”を目指していく

インターネットやIoTデバイスで扱われるトラフィック量は2006年と2025年を比較すると約190倍になると見込まれています。データ量は約90倍。もはや、新しいAIの高度化や複雑化する産業横断のイノベーションにおいては、現在の情報基盤技術では対応することができず、さらに、稼働に必要な消費電力も増大する一方です。

「圧倒的な低消費電力の実現はできないか。これがIOWN構想の発端でした。」

2020年11月17日にリモートで開催された「NTT R&Dフォーラム」の基調講演で、代表取締役社長である澤田純はこう語りました。

「日本の産業全体の貿易収支をみると日本の産業技術は海外で大きく評価されているのがわかる。一方、情報通信技術という分野においてはほとんど日本の技術は立ち遅れている。」

IOWN構想は、これまで通信において活用されていた「光技術」をハードウェア内の回路や半導体などにも光を使った通信を組み込むことで、速度の向上や消費電力の低減を図るというものです。光は電気よりも速いので遅延が少なく、電気よりも大容量のデータを転送でき、それにともない消費電力も抑えることができます。

画像:講演する代表取締役社長 澤田純

「ゲームチェンジを行いたい。IOWNによって社会が変革していくことを推進していきたい。ゲームチェンジによって、日本が世界への貢献を実現していくことを目指していきたい。」

この構想が実現すれば、これまで当たり前のように電気に大きく頼ってきた技術基盤が根底から大きく変容すると言われています。

2030年の実現を目指すIOWN構想、「ゲームチェンジ」に向けての準備は着々と整いつつあります。

すでにNTTでは「光電融合デバイス」という、メモリ同士を光通信技術でつなぐ爪先サイズのデバイスを試作しています。また、IOWNでの実装を想定した「4Dデジタル基盤™」が2021年度から順次実用化されます。これは高精度な位置情報と地図データ、リアルタイムのセンシングデータを統合する高度地理空間情報データベースに多様なセンシングデータをリアルタイムに統合・高速に分析処理を行うもので、さまざまな産業分野に幅広く活用されると言われています。

このほかにも、コンピュータのCPU、GPU、ストレージを動的に組み合わせられる「光ディスアグリゲーテッド・コンピューティングモデル」や、太陽光発電でエネルギーをまかなう低軌道衛星を活用したデータセンター「IOWN Space Computing」など、ありとあらゆる産業分野での構想が語られました。

「未来を変えるために技術研究を進めている」

代表取締役社長である澤田が放つ言葉は、2030年とその先の未来社会までをも射程にとらえているのかも知れません。

それでは、NTTグループの最新研究のいくつかをご紹介します。

多様かつ変化するアプリ要件に応じたネットワーク環境

End-Endの快適品質を実現するエクストリームNaaS

NaaS(ナース)とは「Network as a Service」の略称です。利用者自身がネットワーク機器や回線を構築することなく、必要な時に必要な特性のネットワーク環境を手軽に利用できるサービスのことを言います。

今回、NTTが研究開発を進めている「エクストリームNaas」は、多種多様な光/無線アクセスを活用して5G以降の時代に想定されるエクストリームな要件を満たす品質をEnd-Endで実現するネットワークサービス基盤です。

画像:End-Endの快適品質を実現するエクストリームNaasの説明図

個別に提供されている無線LANや5Gなどの無線システムを柔軟に組み合わせ、ユーザーが利用無線システムを意識することなく、途切れず快適な通信環境を実現します。

エクストリームNaasの実現には様々な技術が必要となりますが、無線ネットワーク制御のインテリジェンス(技術群)であるCradio™※によって、無線通信環境の把握・AIを活用した品質の先読み予測・予測に基づく動的制御が実現されます。

代表的な利用ケースとしては、工場や配送センタの運用に必要な安定した通信環境や、農業における農機の自動運転などでの活用が期待されています。

さらに、スタジアム観戦、ライブ配信などの特殊で複雑な通信環境のなかでも、最適な制御をかけることによって、特定の周波数や機器に負荷が集中しすぎることがないように分散させることでネットワーク全体が安定した品質の通信を利用できるようになります。

※ Cradio™とは、NTTが開発したマルチ無線プロアクティブ制御技術(群)です。

光通信技術を応⽤した紫外線デリバリによるウイルス対策

新型コロナウイルスなどの感染予防技術「Fivery™」

電磁波の一種である紫外線(UV: Ultraviolet Ray)のなかでもUV-Cの光を新型コロナウイルスなどのウイルスに照射することで不活化する方法に注目が集まっており、光源を搭載した機器から直接紫外線を照射する製品が使われはじめています。

NTTでは、これまで培ってきた光通信技術を活用し、直接紫外線を照射するのが困難な場所や場面に光ファイバを用いて紫外線を届け、ウイルスを不活化する技術「Fivery™(ファイバリー)」の研究開発に着手しました。

画像:End-Endの快適品質を実現するエクストリームNaasの説明図
画像:可視光を使ったFivery™のモックアップ模型

可視光を使ったFivery™のモックアップ模型

Fivery™は、光ファイバを用いて伝送した紫外線を対象物に照射することでウイルスを不活化します。光ファイバを設置できる空間があれば、狭いところや光源装置の設置が難しいところへも紫外線を届けることが可能となります。

また、ひとつの光源装置から複数の対象へ紫外線を照射することや、その空間の人の動きにあわせて照射パワーを制御することもでき、効率的で安全な運用を目指します。

たとえば、多くの方の指が触れるエレベーターのボタン、ATMなどの操作パネルなどへの活用が期待されています。

ニュースリリース
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暑熱による体調不良リスクを個⼈ごとに推定してアラート

ウェアラブル⽣体・環境センサを⽤いた暑さ対策システム

NTTは、東レ株式会社とのコラボレーションで体から発する微弱な電気信号を読み取る機能素材「hitoe®」を開発し、2014年に、着るだけで心電・心拍などの生体情報を取得する着衣型ウェアラブル⽣体センサを提案、他社に先駆けて実用化を行いました。
そして2020年、NTTはこの分野のパイオニアとしてさらに研究開発を進め、ウェアラブル⽣体・環境センサを新たに開発しました。

画像:ウェアラブル⽣体・環境センサを装着した新開発のウェア

ウェアラブル⽣体・環境センサを装着した新開発のウェア

これまでの心拍数・心電波形などの生体情報に加え、今回は新たに衣服内の温度や湿度の情報を取得でき、環境が体に与える影響を把握することができるようになりました。また、独自の解析技術により歩数や体動量、体の角度なども算出できます。

さらに、従来型に比べ、センサ端末の重さは約半分の12gとなり、バッテリーは50時間以上稼働できるようになりました。加えて、株式会社ゴールドウインと東レ株式会社の技術革新によりウェアが進化し、生地は薄く、速乾性に優れ、フィット感が格段に向上しました。実際に、今年の夏、グループ会社のネットワーク設備工事の作業者に装着してもらった実証実験では、着心地もちょうど良く、気持ち良いなどの意見を多くいただきました。

画像:重さ約12gに軽量化されたセンサ端末(左)

重さ約12gに軽量化されたセンサ端末(左)

画像:作業者が携帯するスマートフォンのアプリ画面

作業者が携帯するスマートフォンのアプリ画面

また、暑さ対策として、名古屋⼯業⼤学、横浜国⽴⼤学、⾄学館⼤学との共同研究により、温熱生理学の専門家の監修を受け、体内温度変動の推定技術を作成し、これまでの暑さ対策になかった、より生理学的な指標を取り扱うことに成功しました。

もうひとつの特長として、疲れに関わる負荷の指標を設定し、「身体負荷の見える化」を実装しています。作業者の身体負荷を確認することで、作業現場における安心・安全を保つこと、作業者の健康を守ること、そして、それがプロジェクトそのものの安定的な運営に寄与することにつながると考えられています。

ウェアラブル⽣体・環境センサを着用した作業員はスマートフォンを携帯します。そのスマートフォンを通じてリアルタイムにデータがクラウドに送信されます。管理者は管理画面で作業者の現在の状況を閲覧できるだけでなく、一日の指標の変化などをグラフで閲覧できます。

炎天下や空調設備のない屋内で働く作業員の安全管理や、暑熱環境下で活躍するスポーツ選⼿や運動を楽しむ⼈の安全管理などへの利用が期待されています。

※機能素材hitoe®は東レ株式会社と日本電信電話株式会社が共同で開発した機能繊維素材であり、両社の登録商標です。

ニュースリリース
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知らせたい音/聞かせたい音だけを届けます

理想的な音空間「パーソナライズドサウンドゾーン」

リモートワークにおける長時間のWeb会議でも、ヘッドフォンなしで音漏れなく会話が聞き取れる仕組みを研究しています。

画像:パーソナライズドサウンドゾーンコンセプト

耳元のスピーカーでは会話が聞こえますが、スピーカーから離れると全く音が聞こえない空間を作り出し、また、キーボードを叩く音や家庭内の子どもの声などをカットし、自分の声だけを抽出して相手に音を届ける仕組みも実現しています。

この技術により、ヘッドフォンがない状態で、さらに周囲の音を気にすることなく、Web会議に集中して臨めるようになります。この「聴きたい音だけを聴く」「聴きたくない音を消す」技術は、さまざまな用途での応用が期待されます。

ウインドスルー会話装置

自動車や建物のガラス窓を閉めたままでも、内側と外側で会話ができる装置を開発しました。この「ウインドウスルー会話装置」は、NTTメディアインテリジェンス研究所が開発した「ウインドウトーク技術」を搭載した受話器型の機器で、閉めたガラス窓やアクリル板にこの装置を押し当て、振動によって、こちらの声が向こう側の相手に伝わります。

画像:ウインドスルー会話装置

ウインドスルー会話装置

また、相手の声も機器に装着されたマイクで集音し、イヤホンで聴き取ることができ、完全に閉じた状態であっても自然に会話ができるようになります。

画像:能動サウンド制御技術の適用域
画像:ウインドスルー会話装置

この装置によって、病院に来院した患者を駐車場に乗ったまま車の窓ガラスを通じて問診ができたり、飲食店でのドライブスルーでの活用など、飛沫による感染防止ができ、コロナ禍における感染対策への活用が多く見込まれています。

NTT技術ジャーナル
メディア研究から人の活動を支援・代替するAI技術の研究開発へ
究極のプライベート音空間を実現するメディア処理技術
https://www.rd.ntt/research/JN202010_7509.html別ウィンドウで開きます

距離を超えて観客同士の熱狂を共有

遠隔観戦の熱狂を向上させる「観戦アシストシステム」

スポーツや音楽などのライブイベントを、自宅などの遠隔から観戦するときに、観戦者同士が「熱狂感」と「一体感」を共有できる対話型の観戦アシストシステムを、ソニー株式会社と共同で研究しています。

画像:リモート観戦のイメージ

コロナ禍の状況下において会場へ足を運べず自宅でのリモート観戦を行う際に、他のリモート観戦者と熱狂と一体感を共有するため、メガホンを振る・大声を出すなどの観戦者の情動の変化に応じた映像効果や、同じ情動を持った観戦者同士のつながりを高める演出を実現する要素技術の研究開発を行っています。

また、ネットワークにおいては、スタジアムと各観戦者間の伝送遅延の低減に取り組むとともに、会場の盛り上がりに応じて歓声音を予測して提示するなどの遅延を感じさせない情報提示技術についても取り組んでいきます。

リモートワールドを生み出すイノベーション

さらに、医療分野、農業分野、自然科学分野など多岐に渡ってNTTの技術革新は進められています。IOWNとともに推進されるイノベーションの数々が生み出されています。

画像:テレ聴診器

テレ聴診器
多数の音響センサが組み込まれた検査着を着用した人の生体音を受信し、医師が画面から聴きたい箇所をタップするだけで、その音を聴くことができ、非接触での診察が可能となります。

ニュースリリース
https://www.ntt.co.jp/news2020/2011/201117b.html別ウィンドウで開きます

画像:バイオデジタルツインによる医療健康ビジョン

バイオデジタルツインによる医療健康ビジョン
人それぞれをデジタルツイン化する技術、リアルタイムセンシング技術、心身の状態の未来予測、さらには生体内の情報伝達・制御技術の研究を進めています。

ニュースリリース
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画像:落雷制御・充電技術

落雷制御・充電技術
ドローンを利用して落雷を安全な場所に導き、落雷から雷エネルギーを充電車に送電する研究です。

詳しくはこちら
https://www.rd.ntt/_assets/pdf/forum/2020/E03_j.pdf別ウィンドウで開きます

画像:農機レベル3自動走行の実現に向けたネットワーク

農機レベル3自動走行の実現に向けたネットワーク
ネットワークインフラ基盤技術を用いて広大な土地でのロボット農機の遠隔操作の研究を進めています。

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IOWN構想とはIOWN(アイオン)とは「Innovative Optical and Wireless Network」の略で「光ベースの革新的なネットワークの構想」という意味。NTTはソニー、インテルとともに「IOWN Global Forum」という業界団体を設立し、IOWNによってもたらされる未来社会のコミュニケーション基盤の構築のため、それぞれの得意分野を生かした研究開発を行っています。
https://www.rd.ntt/iown/0001.html別ウィンドウで開きます

IOWNってなに?これまでの常識が変わる「スマート」で「ナチュラル」な未来像https://2020.ntt/jp/innovation/technology/09.html別ウィンドウで開きます