• Vol.01 | “未来の旅行像”を考えよう
  • Vol.02 | “人と人をつなぐ技術”を考えよう
  • Vol.03 | “技術が広げる遊びと学び”を考えよう

ENGINEERS MEETING NTTの数ある研究所から、通信の未来を担う技術者たちが集結。2020年、そしてその先の未来に向けて、熱い議論を交わしました。 ENGINEERS MEETING NTTの数ある研究所から、通信の未来を担う技術者たちが集結。2020年、そしてその先の未来に向けて、熱い議論を交わしました。

Vol.1 2020年、その先に向けた“未来の旅行像”を通信技術から考えよう Vol.1 2020年、その先に向けた“未来の旅行像”を通信技術から考えよう

DISCUSSION MEMBER DISCUSSION MEMBER

米家 惇
よねや まこと
コミュニケーション 科学基礎研究所
西川 健一
にしかわ けんいち
アクセスサービス システム研究所
小川 賢太郎
おがわ けんたろう
ネットワークサービス システム研究所
奥田 兼三
おくだ けんぞう
ネットワーク 基盤技術研究所

旅行に関わる通信技術で世界を革新的に変えたと思う技術は何ですか。

米家 惇イメージ

米家GPS」でしょうか。旅先で、昔であれば紙の地図を広げて自分が今どこにいるか、周りの建物などを参考にして判断していたのが、今ならスマートフォンで地図アプリを開けば自分がどこにいるかがすぐに分かります。
しかも、目的地を入れればそこまでのルートまで教えてくれる。そういう意味では、「ルート探索」も旅行を格段に便利にしてくれている技術といえますね。

西川 健一イメージ

西川 私は「SNS」的なコミュニティサイトかなと。例えば、子連れで海外旅行をしていて、レストランが小さい子どもを受け入れてくれるかどうか。信頼できるコミュニティサイトの口コミを見れば、あらかじめお店の雰囲気などを判断できます。いわゆる旅行ガイドブックだけでは足りない情報を補ってくれて、すごく便利になったなと感じます。

小川 賢太郎イメージ

小川音声通訳」の技術です。昔はポケット辞書を持ち歩いていた。その後、電子辞書が出てきましたが、使える言語が限られていた。それが今はスマートフォンの音声通訳アプリなどであらゆる言語に対応できます。しかも、音声認識してくれるのでいちいち文字を打たなくてもいい。さらに、翻訳した内容を音声に変換までしてくれます。
私も実際にロシア語への翻訳などで使うことがあるのですが、ホテルや交通機関、買い物など、全然困らないレベルになっていますよ。

奥田 兼三イメージ

奥田 私は「インターネットの高速化と端末の高性能化・小型化」だと思います。例えば私が小さいころはまだ通信の速度が遅くて、携帯電話で11万画素くらいの写真を送るのが精いっぱいでした。それが今ではスマートフォンで驚くほど高画質の映像や写真を送れて、困ったことがあればいつでもあらゆる情報を検索できる。
この先もインターネットの高速化と端末の高性能化・小型化が世界の旅行の仕組みを変えていく根源になると思います。

世界をつなぐ最新の通信技術などで、これはスゴイと思うものは?

奥田 兼三イメージ

奥田 これからすごくなりそうだと思うのは「ブレイン コンピュータ インタフェース」。脳信号の読み取りや脳への刺激によって、脳と機械でダイレクトに情報を伝達する技術です。すでに、頭に脳波センサーを付けて画面に映っているカーソルを動かすといったことは実現されている。これがもう少し技術革新すれば、センサーや端末もいらなくなって埋め込みになるのかなと。
さらに、脳が直接インターネットにつながるようになればもっと面白い世界になる。実証実験が始まったら真っ先に手を挙げたいと思います(笑)

小川 賢太郎イメージ

小川UAV(Unmanned Air Vehicle)」でしょうか。激甚災害への対応に活用できると思います。
ネットワークのどこかに障害が出たとき、ルーター機能を搭載したドローンなどに経路を迂回させて通信を維持する。車が入れないような場所もカバーできて、さらに複数台で広範囲のネットワークを作ることも可能になると期待しています。

西川 健一イメージ

西川 今、システム開発系の技術はどんどん変わってきていて、開発の効率化も進んでいます。つまり、何か新しいアイデアを思い付いたら、それをいち早く世に出せるようになっている。そういう意味で、仮想化技術全般、もっと広く言えば対象から本質的に重要な要素のみを取り出す「抽象化する技術」にずっと注目しています。

米家 惇イメージ

米家 私は「触覚通信」がかなり面白いと感じています。例えば、キーボードを打つ感じをセンサーで取得して、その情報を遠くにいる人に送り、実際にそこにはキーボードがないのに、あるかのように打つ感覚を味わえるというものです。まだ研究段階ではありますが、家にいながらにしてさまざまな触覚を味わえる世界は決して遠くないと思っています。

東京2020オリンピック・パラリンピックで
日本を訪れる旅行者に通信技術で「おもてなし」をするなら?

小川 賢太郎イメージ

小川 先日の「R&Dフォーラム2016」でデモされていたのですが、スマートフォンに一体化するコントローラーが手を左右に引っ張ってルートを案内してくれる技術は面白いと思いました。通信サービスと連携させることで、旅行者にとても便利な機能になると思います。
さらに開発が進み、通信機能を強化することで、車が来るのを事前に察知して避けさせるといったことも可能になるのではないでしょうか。

米家 惇イメージ

米家 位置情報の技術について、以前はGPSやWi-Fiがつながっていないと正確な現在地が分からないという状況だったのが、最近はオフラインでも道案内できるぐらいのレベルになってきた。2020年の東京でも、訪れる旅行者を正確に案内するために、位置情報の精度は一つ肝になるかもしれません。

西川 健一イメージ

西川 先ほど音声通訳が便利、という話がありましたが、日本語のみの看板や表記は町中にたくさんあるので、メガネ型の端末やスマートフォンをかざして見るとリアルタイムに翻訳されるようになれば、旅行者にとってとても便利だと思います。

奥田 兼三イメージ

奥田 昨年の「R&Dフォーラム」でも看板などをスマートフォンでかざすと、リアルタイムに翻訳されて表示されたり、追加情報が表示されたりするといった技術が展示されていましたね。

米家 惇イメージ

米家 端末がメガネ型になればさらに手間が省けていいですね。あと、メガネ型の端末は今のところ何か情報を表示するというものが中心ですが、例えば内部に電極を付ければ目の動きを測定できます。そういったものと組み合わせることで、私たちが研究している技術も載せられるのではと期待をしています。

奥田 兼三イメージ

奥田 先日の「R&Dフォーラム2016」でも話題となっていたのですが、「Kirari!」という技術には注目しています。競技空間を丸ごと遠隔地に配信して、擬似3Dなど複数の映像や音声でリアルタイムに再現するというもの。この技術を使えば離れた場所でも、より実体験に近いパブリックビューイングが行えそうです。

小川 賢太郎イメージ

小川 Kirari!は私もR&Dフォーラム2016の会場で体験したのですが、すぐそこに人がいて、実際に競技をしているのと区別が付かないくらいクオリティが高くて驚きました。

2020年以降に向けて、通信技術の未来や
技術者としての夢を教えてください。

米家 惇イメージ

米家 例えば自分がマチュピチュに行かなくても、日本にいながらそこに行ったような気持ちになれる、そういった体験ができるようになればいいなと思っています。そのためには、バーチャルの情報を転送しつつ、さらに風が当たる感じなど触覚通信も加えるとよりリアルな体験ができるようになるかと。
また、先ほどSNSの話がありましたが、実際にその場所に行った旅行者が生の情報をどんどんネットワークに上げていくことで、より精度が上がっていく、そんな仕組みも実現できると面白いですね。

西川 健一イメージ

西川 私はオペレーションの効率化などをずっとやってきているので、やはりその延長線で考えたいと思います。大きな企業において基幹システムをトップダウンで導入するという展開はもちろん重要なのですが、さらに、ボトムアップで各現場から色々な工夫を吸い上げるという展開も事業の両輪として必要だと思います。
現場がもっとイキイキと働けるために、役立つ技術を作っていきたいです。

小川 賢太郎イメージ

小川 私は今「NetroSphere(ネトロスフィア)構想」に関わっています。これはネットワークを構成する機器や技術、要素を細分化し、それらを自由に組み合わせられるようにしようという考え方。汎用的な部品を使うことで、ネットワークインフラを柔軟にかつ安く作れるようになるというのも重要なポイントです。
今でも世界中にはネットワークにアクセスできない人々がたくさんいるので、この取り組みによってどんどんつなげていくことができるんじゃないか、と期待しています。

奥田 兼三イメージ

奥田 私は脳が直接インターネットにつながる世界が本当に来ると思っていて、そのときに怖いなと思うのが、悪意のある誰かが他の人の頭に危険な信号を流し込んでくるといった状況です。そういったことができないような仕組みをネットワーク側で用意しておく必要があります。
しかし、現状だとセキュリティはアプリやサービスを作る人たちにお任せになっている。それこそ、ネトロスフィア構想や将来のネットワークに、インフラとしてのセキュアな仕組みを作っていくことが研究者としての使命だと考えています。

vol.01

一見すると遠いテーマかのように思われる「通信」と「旅行」。
しかし、技術者たちのユニークな発想に、あらためて通信が担う役割の大きさに気づかされました。2020年、そしてその先の未来に向けて、彼らがどんな新しい体験を生み出してくれるのか、今後の活躍が楽しみです。